はじめに
学習院大学のこれまで培ってきた高い研究力と幅広いネットワークを活用し、中長期計画事業として、新学術研究「宇宙利用論研究」を創成します。
新学術「宇宙利用論研究」創成
宇宙利用論研究(英名:Space Utilization theory research)は、地球を含むすべての天体・宇宙空間の開発及び利用を研究対象とした新学術研究です。
これまでの人文・社会・自然科学が積み重ねてきた基礎から応用に至る研究を連携・融合した総合知によって研究活動を行います。
事業名であるSpace-AX は、宇宙(Space)と学術変革(A:アカデミック、X:トランスフォーメーション)を組み合わせた学習院大学独自のプロジェクトネームです。
宇宙利用論研究の目的は、学習院大学の理念にある「文化の創造発展と人類福祉への貢献」であり、SDGsの観点では、ゴール「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」及び「17.パートナーシップで目標を達成しよう」に該当する取り組みです。
宇宙利用論研究領域
宇宙利用論研究領域は以下の通りです。各研究領域が連携・融合し新たな研究領域「宇宙総合知領域」を生産する「総合知エコシシステム」を形成します。
具体例:宇宙実験、人工衛星、宇宙保険、宇宙ベンチャー、宇宙ビジネス法
具体例:SDGs、地球環境問題、宇宙産業と地方創生、宇宙開発による途上国支援
具体例:考古学、天文学、宇宙観測、宇宙人類学、宇宙人間学
具体例:人工衛星による歴史研究、宇宙空間への移住、宇宙開発人材の育成
宇宙利用論研究創成に至る経緯
本事業は、学習院大学2019年度学校長裁量枠事業「文理融合による学習院大学の特色あるSDGsの検討と試行」としてスタートしました。当該事業では、「地球環境の持続を目指した宇宙資源利用」をテーマとして、渡邉匡人(理学部物理学科)、小塚荘一郎(法学部法学科)、後藤琢也(同志社大学理工学部)が研究活動を行いました。
当該事業の代表者である渡邉匡人教授(理学部・物理学科)は、国際宇宙ステーション(ISS)・「きぼう」日本実験棟において「静電浮遊法を用いた鉄鋼精錬プロセスの基礎研究~高温融体の熱物性と界面現象~」の実験に取り組んでいます。
当該事業を担当した小塚荘一郎教授(法学部・法学科)は、科研費「産業革新に対する法律学のかかわり方:衛星データ産業における人工知能(AI)の利用(挑戦的萌芽:代表)」及び野村財団研究助成「投資・金融のフロンティアとしての宇宙ビジネスに関する法制度の研究(代表)」などの研究に取り組んでいます。
また、今回のプロジェクトから参画する乾 友彦教授(国際社会科学部・国際社会科学科)は、科研費「IT化と国際化が企業ダイナミクスに与える影響:日中韓の企業の比較分析(基盤B:代表)」及び「博士号保持者の知識活用への課題:組織・人的資本管理の視点に基づく調査分析(基盤B:分担)」など、国際企業の分析や人材育成に関わる研究活動を進めています。
学習院大学は、宇宙開発を担う人材育成のために「JAXAの学生受入制度に基づく連携⼤学院協定」を締結しています。本協定により、論文指導を含む教育・研究指導のほか、JAXA職員による学位論文の指導を受けられる体制が整備されています。
本事業の推進にあたっては、学内外の様々なステークホルダーと連携します。大学等研究機関とは共同研究契約を締結し、地方自治体や民間企業とは産官学連携協定を締結する予定です。
事業実施に係る教職協働体制
役割分担 | 氏名、部局名等 |
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研究代表者 | 渡邉匡人教授(理学部・物理学科) |
研究分担者 | 小塚荘一郎教授(法学部・法学科) 乾 友彦教授(国際社会科学部・国際社会科学科) |
プロジェクト調整・事務手続き・支払管理 | 研究支援センターURA・職員 |
令和4年度から6年度にかけて、学内の研究者や事務部門に協力をお願いし、全学的な教職協働体制を構築する予定です。